個人的妄想倉庫×運命準備委員会
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 「突風」あまねと相棒と
2007年03月02日 (金) | 編集 |
第2回プライベートリアクション
No.P×OXX17 担当:Sie
「突風のように」
(このプライベートリアクションは、以下の行動選択肢を選ばれた方の全てに送られています)

■プラリアを読む
――――――――
 雨が降った後には風が吹く。
 どこで耳にしたのかは忘れたけれど、とにかくそんなことを。
 枡塚三吾(ますづか・さんご)が思い出したのは、一際強く吹いた風に、一つしでかされた後で、だった。
「あちゃー……」
 散らばったレポート。
 午前中の日差しのせいで、濡れた地面で書類が大変なことに、というような事は免れたが、何枚かはバラけてしまった。いつもの通り道。その中庭は広く、茂った樹木の下、芝生は青く、白い紙を浮き立たせる。
「これで最後、か……ん?」
 木立に、ひとつ。どう見てもB5サイズの白い紙。
 手元の書類を確認して――最後の1ページ、一番大事な部分があそこにあると気づく。
 慌てたのがいけなかった。
 せめてフォルダに挟んで持ち運べば、風で飛ばされることも無かったのに。

 木に引っかかったその1枚は、手を伸ばせば届きそうな位置で、三吾をあざ笑う。

 180を越える彼の身長は、この手のことで彼を煩わせない。はずだった。
 彼の相棒が――彼より丁度、30センチ程も低い相棒がぴょこぴょこ跳ねても届かない場所から、何かを手渡すのは、ずっと彼の役目だったのだから。

「くっ。届きそうで届かねぇ」

 普段出来た事が今は出来ない、ということは、人を苛立たせる。

「あれっ、三吾ー!」

 遠くで――建物の上、二階の窓辺りから、聞きなれた相棒の声。
 あいつは何処からだって声をかける。だからたぶん、それが中庭を隔てた向こうからであろうと、本人がこちらを認識していれば、こちらを認識した段階で声をかける。

「その人、だぁーれー?」

「へ」

 不意を突かれた。
 人の気配――それも、自分の「頭の上から」。カサリという紙の音。
 反射的に、これはもう本能的に振り返る。振り返らざるを得ない。根拠の無い、しかし何かに突き動かされるような感覚を覚え、三吾は振り返った。

 自分より、そう、10センチほどは高いだろうか。
 白いタートルネック。なのに、「黒い」印象なのは、髪の色のせいか、瞳の色のせいか、――眼鏡の縁の――それぞれに、黒い色のせいか。

「これ?」

 にっこりと、その男は笑った。
 手には、例のレポート用紙。笑顔は別に、取り繕ったものではない。無いが。

(――なんか)

 口元に、殴られたような傷跡。四角い伴創膏。

(うさんくせぇ)

 直観か。運命か。その時三吾は、頷きつつも、一歩。後ろに、引いた。

「はい」
 男はやはり笑って、書類を三吾に手渡す。「違う?」
 大学生だろうか。
 大人びて、けれど、やはりどこか、学生らしい印象がある。大きな皮かばんを斜めにかけ、それでも足らないのか、手元には本が数冊、束ねられている。
「あ、ああ、いや。助かった。サンキュ」
 差し出された右手から、書類を受け取って、確かめて。三吾は礼を告げた。
 八十神には、様々な――自分たちも含め、様々な人間が集まる。身長だって様々だが、ここまで高い人間は――何故か久しぶりに見た、ような気分だった。

「三吾ー」

 ぱたぱたと、足音。
 向かいの校舎から全速力で駆けてきたらしい三吾の相棒は、何メートルか手前で立ち止まって、まじまじとこちらを見た。
 男と、三吾。まじまじ見比べて、口をぽかんと開ける。間を置いて、一言。

「三吾がちっちゃい!」
「人が縮んだみたいに言うな」
 あはは、と、男は他人事みたいに笑う。
「だって、三吾よりおっきい人、初めて見たよ!」

 三吾の相棒――春日藍夢は、両手でモキョモキョと身長差のジェスチャーをする。
 実際、三吾より身長の高い人間は何人でも、それこそ何百人だって居る。が、10センチを数える身長差の人間と並ぶ機会は、まあ、そう多くは無い。

「君ら高等部? ――か」
 ふむ、と、一人納得して、男は腕を組む。
 彼はいちいち、三吾と藍夢の顔――目線にあわせて視線を送るのだが、藍夢を見るときは、自然下を見ることになる。頷くような形をしたあと、「そうだ」と言った。

「昼の予定は?」
「ないよ」と、藍夢。
「じゃあ、義塾に行こう。養心義塾の学食」
「げ」
 悲鳴を上げたのは三吾。あそこのメニューには、4色の――苦いの甘いのしょっぱいの辛いの、なんだか訳のわからないものがかかった、炊き込みキャベツがあった筈だと、彼の知識が訴える。
 というか、今、「行こう」って言った。
「今日は相撲部の子が居て、ちゃんこが食べられるらしい。鍋って一人で食べても美味く無いだろ」
 こくこく頷く藍夢。
 三吾を置いて、会話は進む。
 男が「奢るよ」と笑った段階で――その返答として藍夢が両手を挙げた段階で、三吾の発言権は、完全に剥奪された。

「一緒に行こう」

 男はもう一度、藍夢と。
 そこから視線を、30センチほど上げて、三吾を見て。
 レンズの奥で、にやっと笑った後。

 穂積あまね(ほづみ・―)と名乗った。

 風が吹く。強く。
 それが、何をもたらす風かは、良く分からなかったけれど。
――――――――

□PLより:身長差に燃えてみました。
 藍夢ちゃんに「三吾がちいさい」と言わせて見たかったと言うか、なんというか。自分より大きい人を、小さいと言えるチャンスもなかなか無いかなと(笑)。
 義塾さんのお名前と情報は勝手にお借りしました(す、すみません)。学食の噂は人づてなので、真実は君の目で……(ええー)!

 一応、安芸さんにあまねを描いていただいたお礼と、青猫さんへの個人的なお礼を兼ねてのプラリアなんですが、書いてた私が一番楽しかったかも。有難う御座いました(ふかぶか)☆
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