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個人的妄想倉庫×運命準備委員会
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 「水面」あまね×桐原先生
2007年03月03日 (土) | 編集 |
No.P×OXX25 担当:Sie
「水面のように」
(このプライベートリアクションは、以下の行動選択肢を選ばれた方の全てに送られています)

■プラリアを読む
※注意キーワード【BL】【戯れ】 【事後と書いてコトのアト】
――――――――
 ゆらゆらと
 ただよう水面のようだ

「どうしたの、センセ?」
 穂積あまね(ほづみ・-)は、めくり忘れていたらしい月ごとのカレンダーをびりびりと剥がしながら、煙草の煙をくゆらせはじめた桐原灰人(きりはら・かいと)に声をかける。その声はひどくのん気だ。
 そんな悪びれない――悪びれてしかるべき様々を施すこの男を、目を細めて見た。
「どうもこうもない」
 体を起こすのも億劫だと、それはお前のせいだと、灰人の声が伝える。
「そう」
 苦笑して、あまねは傍らに置いたカップを、片手で器用に持った。ふたつ。
「コーヒー平気?」
 香りがゆらぐ。
「……珍しいな」
「そう? そういえばしたことなかったっけ。お茶出したりするのって」
「いや。そのことじゃない。その、穂積が、一人で……」
 言いよどむ灰人を見ずに、カップをサイドテーブルに置いて、「ああ」と、あまねは苦笑する。
「珍しいかもね。ぼくが」
 乱れたままだった、黒い髪をなでつけて。
「迅無しで、桐原先生と寝るのは、さ」
 珍しいかも、ね。
 繰り返して、あまねは目を伏せる。
 マグカップは淡いグリーンとブルー、それぞれのストライプは対になっていて、そこからたつ湯気を避けるように、そっと息を吹きかけてから、あまねはそれに口を着けた。
 灰人は答えずに、煙草を深く吸う。
「ぼくひとり相手じゃ、物足りなかった?」
 からかうとも無しに言われて、灰人はむせる。
「馬鹿なことを……!」
「何、イイ、って言ってくれるの?」
 ぎしり、と。
 ベッドのスプリングが、あまねの重さに悲鳴を上げて軋む。
「ぼくとふたりのセックス」
 灰人も、声にならない悲鳴を上げる。
「…………!」
 反論の言葉を見出される前に、「冗談だよ」と、あまねは笑う。くつくつ笑われて、照れたように灰人はそっぽをむいた。
 僅かな沈黙。
 サイドテーブルに置かれていた、灰皿がわりの小皿は灰人の手にあって、くゆる煙から落ちた灰を受け止めて汚れる。
「なぁ」
 ぽつりと。
 灰人が口を開いた。
「……何?」
 灰人が尋ねたように、あまねも静かに尋ねる。
 あまねのカップからは、いつものような甘い香りは立ち上ってこない。ただ、……珈琲の香りが、立ち上り、煙草のそれと混じり流れる。
「……訊いていいか」
 あまねは、視線と沈黙で肯定を伝える。
 灰人は、それを是と受け止め、躊躇いながらも口を開いた。
「何で、……俺なんだ。十河にしても穂積にしても、俺なんかじゃなくても、それこそ男でも女でもよりどりみどりだろう。なんでだ。何故こんな、20も上の……冴えない男を選ぶ」
 開かれた疑問は、一気に花開く。
 今問わねば、きっと咲かずに消えてしまっただろう疑問の種。それは、ずっと、灰人の胸にあったものだろう、と、あまねは思い、目を細める。その先にあるのは、わずかにうなだれ、視線を逸らしたままの灰人。
「……」
 あまねは彼が、彼をあまねが……若しくは迅が『求める』限り、『断れない』のだということに、薄々気付いていた。
 気付かないはずが無い。
 快楽以上に、優しさ以上に。
 彼の体と心には、自分達を受け容れるだけの隙間がある。
 それはたぶん、傷と呼ばれるもの。
 そこに付け入っているのは自分であり迅であり。
「先生」
 かたん、と、音を立てて、サイドテーブルにカップが置かれた。灰人の手からは、ずいぶんと短くなった煙草が、所在なげに淡い煙を上げている。
 それを、あまねの長い指が奪う。
 自然、体が寄せられる形になり、あまねの体臭が灰人の元へ届けられる。ズボンをひっかけただけの体の、汗が引いたばかりの体温も。
「……ほづ、み」
 どきりと心臓が跳ねる。
「知りたいの?」
 尋ねるあまねの目は、闇のように深い。
「迅のコトは、ぼくが答えられることじゃない。彼のことは、彼しか知らないからね。けど」
 短い煙草を深く吸い――むせもせず煙を吐いて、あまねは嗤った。
「ぼくのコトなら」
 それは、ぞくりとするほど低い声で。
「……教えてあげられるよ」
 背中に、硬いものが当たる感触で、灰人は自分が一歩、後ずさるように後ろに下がったのだと気付く。
 聞きたくは無い。
 なぜならば、この男が獣の笑みで笑うとき、それは大抵、灰人にとって『良くない』からだ。後ずさったことを悟られまいとして、それが既に遅いことにも気付く。
 気付くが、彼の言葉を止める手札が、灰人には見付からない。だから、せめてもと――男を呼ぶ。人の名で。
「……穂積」
 それが、指の、舌の、肌の感触で、あまねを撫でるとも知らずに。
「……ぼくが」
 あまねはそっと、煙草の火を皿に押し付けて消す。
 それが何時あまねの手に移ったか、灰人の記憶には無い。
「どうして桐原先生を犯すのか知りたいんでしょ」
「っ」
「どうしてぼくが、先生を脱がして」
「……ほづ、」
「唇にだけじゃなくキスするのか」
 あまねは左手でカップを取った。それは、右手同様に流暢な動きだ。黒い液体を口に含み、嚥下する。そんな動きのひとつひとつを、目で追ってしまうことに、灰人は気付く。
 気付いて目を逸らす。
 逸らした先に、闇色の目があった。――遅い。
 目がそう言っている。
 手遅れだ、と。
「知りたいんじゃないの?」
 かた、と、サイドテーブルが鳴った。カップが置かれた音だと灰人が気付く前に、あまねの声が続く。
「ぼくがどうして、あなたで欲情して」
 ほづみ、と、口の形だけで呼ぶ。静止をかけたいのに、声が出ない。うろたえるうち、耳元にあの――あまねの香りがあることに気づく。
「どうして……」
 口を開く気配。耳朶に触れる、生暖かい空気。
「止めろ、穂積っ」
 とっさに口をついた。
「ちえ」
 素直に身を引き、あまねが零す。
 灰人の心臓はばくばく言いはじめたままだ。
「せっかく卑猥なことゆってやろーと思ったのに」
 唇をとがらせるあまねが、組み敷かれかかった灰人からも見える。見えるので怒鳴る。
「穂積っ……、お前真面目に答える気無かっただろう……ッ?!」
「そんな事無いよ」
 しれっと言うあまねは、しかしそっぽを向いている。
 向いて、少し長い髪をくるくると弄って――ああ、そうか、と言う。
「期待、した?」
「ッ……馬鹿を言えッ……!」
 反論する灰人に、あまねは笑って。

「怒鳴る元気があるなら、大丈夫だね」

 と、言った。

 ゆらゆらと――ゆれる三日月の上で、踊らされる午後。
――――――――

□PLより:
 桐原先生のPLさんが寛容な方で、アレコレプラリアを書いても歓迎してくださるのを良いことに、調子に乗ってアレコレ書いたうちの一本、です。リアの外であまねが何をやっているかは、まあ、PLの妄想なんですけど、ね(笑)。

 先生はその、真面目で反応が可愛いので、その。
 書いていて動かしやすいんですね。反応が容易に想像できるというか。

 それだけの話、なっちゃいましたが、書いている私は楽しかったです。エヘ……。
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