個人的妄想倉庫×運命準備委員会
 スポンサーサイト
--年--月--日 (--) | 編集 |
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


 「吐息」雨宮先生×密月
2007年03月03日 (土) | 編集 |
No.P×OXX33 担当:Sie
「吐息のように」
(このプライベートリアクションは、以下の行動選択肢を選ばれた方の一部に送られています)

■プラリアを読む
※【18禁】【BL】【なぜならベッドの上だから】

――――――――
 夜更けには止んでいた雨が、また降り始めたらしい。
 腕密月は、雨の気配に目を覚ました。宵闇館の接客室は防音が施されている――が、ふたりの居る顧問室は少し違う。違うけれど、音の気配は遠い。
水の気配はガラス越しに、彼らの足元を漂っていた。密月にとって雨は、愛しい人に繋がる面影でもあり、気配ですらある。触れれば冷たいけれど、あたたかな気配。なだめるように降る、優しいそれ。
 身動きをすると、外気が肌寒い。
 衣服を身に付けていなかったことを、シーツの感触で思い出す。と、同時に、隣で眠る愛しい人を――雨宮譲を。その吐息を、体温を、スポンジが水を吸い上げるように、植物が水を求めるように――ごくごく自然に、思い出す。
 今。
 この人が、側に居る。
 頭の下に腕があって、その暖かさにどきりとする。重くは無いだろうか。痺れては居ないだろうか。そんな思いは、彼の頬を、睫を、そこにかかる黒い髪を、見つめているうちに解けて痺れてしまう。

 ――好き。

 あふれ出す愛おしさを愛と呼ぶならば、この幸福感も、切ないほどの想いも、愛のなせる業なのだろうか。構わない。何と名づけても構わない。何と呼ばれても構わない。ただ、愛おしいと思った。
 守りたい。
 役に立ちたい。
 どうしたら彼を苦しみから解放出来るのか。その答えが見付かるなら、自分は地の果てへだって赴くだろう。けれど。

「……譲」

 夕べ初めて口にした、その名を口に出してみる。
 誰も愛せないと思っていたと。自分がそれを覆したと、そう言ってくれた人。この苦しみから、例えば永遠に解放されなかったとしても、彼が、自分を解き放ちたいと、そう言ってくれたことだけで、救われたような気持ちにすらなる。
 命かけて守りたいと。
 そう、思っていたのは自分なのに。
 その喜びを、どう表していいか分からない。この愛おしさを――

「眠れないのか?」
 ふと、かかった声に、不意を突かれた。譲の手が髪を撫で、密月の心臓はどきりと跳ねた。
「いえ」
 空いた手で、密月は譲が冷えないよう、シーツを持ち上げる。
「目が覚めてしもうただけです……それで」
「それで?」
 譲の手が、あやすように密月を撫でる。
「それで……譲はんを見てたら、眠ってしまうのが勿体のうて」
 つい、と、密月は笑う。
「眠れ。明日に触る」
 譲の唇が、密月の額に触れた。髪がゆれ、頬を撫でる。
「……はい」
「眠りに落ちても、私が居なくなる訳ではない」
「……、へえ」
 少しだけ寂しそうだった顔が、笑顔に変わる。密月はもそもそと、譲に寄り添った。
「……傷は、……辛いか?」
 その腕の中で、金の髪がふるふると横に振られる。
「いいえ」
 そっと、遠慮がちに。譲の背に、密月の手が添えられる。
「雨宮センセイが、居てくれはりますから」
「……」
 ぎゅっと、優しい力で抱きしめる腕を、譲はそのまま受け容れる。
「密月」
「へえ」
「もう一度、名前を呼んでくれ」
「……」
 言われた意図を、一瞬掴み損ねて。けれど、直ぐに。
「ゆずる、はん」
 照れくさそうに。嬉しそうに――言葉は紡がれた。
「……一度で、かめへんのん?」
 ほんのりと赤く染まった頬。そこにある、碧の瞳が、譲を見上げる。
「うちは、何べんでも呼ばれとうおす」

 自分の名が。
 これほど甘く響くことを。
 たぶん、この人の声以外で、感じることなど、出来はしない。

「――密月」
「ゆず、」

 る。
 密月の声は、譲の唇に塞がれて吐息になる。

 言葉は、最後まで紡がれなかった。
――――――――

□PLより:
 宵闇ブログの段階から、ちょぴっとだけ手直ししました(アクションに添付したバージョンです)。

 センセイは密月に、「何も恥ずかしがることはない」と言ってくれているといいな、と、思います。
 第5回リアを受け取った後なので、こう、超らぶらぶ。
 恥ずかしいくらいらぶらぶ。

 ……むしろ私が恥ずかしい……!(脱兎)
スポンサーサイト

コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。