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個人的妄想倉庫×運命準備委員会
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 「引き攣れた皮膚のように」
2007年03月14日 (水) | 編集 |
No.P×OXX28 担当:Sie
「引き攣れた皮膚のように」
(このプライベートリアクションは、以下の行動選択肢を選ばれた方の全てに送られています)
■プラリアを読む

――――――――
 指先からこぼれる
 何か得体の知れないものがあって
 ぼくの心をからめとっていく

 これは一体何なのだろう。きゅ、と、心の片方に何かが絡まって、どこからか強く引っ張られたような、そんな気分に足を止める。
 皮膚が引き攣れる感覚。
 それと似て非なる感触。
 視線を彷徨わせた先には、常と変わらぬ、宵闇の館60年という月日を経て尚、場所と心に留まり続けるこの場所には、ぼくの知らない様々の秘密があるという。

 エメレンツィアの復活。

 にわかに浮き足立つこの噂は、ただこの場所に入り浸り始めたぼくの耳にさえ届いた。アーキタイプとして知られた英雄の名としては、ウルリーカなどよりよほどメジャーな名だ。伝説の、超高級愛人。
 その愛技はいかなる性癖をも満足させたらしいが、彼女に気に入られた幸運な者しか、その快楽を味わえなかった、と、言う――一説には、両性具有であったという――『彼女』。
 興味がないと言えば嘘になるかも知れない。
 が、それは現実味を伴わない『伝説』だった。
 あの肌の上にある星の印。
 それが『彼女』を指し示すのだという『現実』すら、うすぼんやりとしていると言うのに。

 ――彼らの口の端に乗る、「エメレンツィア」という存在が『現実』だとして。
 例えば彼女が、誰かを気に入るとして。
 それに適う人間が居る、ということも、やはりぼんやりとして掴みどころがない。伝説の愛人。彼女が選ぶのがどんな人間なのか、それには――それには興味があった。
 彼女を愛する、若しくは崇拝する人間は数多く居るだろう。
 自分が、自らの前世に、どこかあこがれに似た感情を抱くように。
 少女の姿をした、自分の中にある彼女を、(それを一番に汚しているのは、他でもない自分自身であったけれど)――彼女の名誉は守りたいと思うように。

 ……彼は。
 夢崎邦夫は。
 恐らく。エメレンツィアを、愛して。敬愛して。崇拝すらしているのだろう。
 思って、自分が笑っていることに気付く。
 あの子に、例えば愛する人が、例えば運命を感じる相手が居るとして。
 それを単純に「好きな子」と言えるほど、彼らの立場が可愛らしいものだとは思わなかったけれど、ふと。
 彼らの年のころ、誰かを好きになってはしゃぐことを覚えたあの頃を。
 義務ではなく体を重ねることに喜びを感じたあの頃を思い出して、ふと。
 好きな子が居るなら。
 その子と幸せに。幸せになればいいじゃないかと、そんな事を。

 ――思った同じ心で――その愛を――奪い取ることを連想して。
 それは限りなく、ぼくの心を高揚させた。
 独占したいんじゃない。手に入れたいんじゃない。けれど、奪うことを考えてしまう、この思考回路は何だ。ぼくはあたまがおかしいんじゃないのか。
 愛じゃない。
 恋でもない。愛おしいと思う気持ちですらないはずなのに、じわじわと、胸を覆ってゆく、曇天のような切なさは何だ。
 まるで真冬の空気に立ち向かう頬を切る冷たさに、指先を痺れさせる感覚に、ああ、冬が来たのだと実感する、あの時の。
 体が、間違いなく温かな熱を持ち、間違いなく、自分が生きているのだと感じる、あの時の。立ち向かう、高揚に似ていて――ぼくの心は沈みながら弾む。

 ……ああ。

 余計なことを思い出す。

 胸が、潰れそうだ。
――――――――

■PLより:書いていて、そういえば夢崎くんの紋章の位置を確かめていない事に気付いたり、名乗りあっていない事に気付いたり、気付いてもんどり打った一本です。
 あまね本人は、「とても静かな気持ち」みたいで、それがどんな感情なのか、という事について、答えを出せないまま(アクション作成前に)書いたプラリアです。

 Uさんに、「恋に恋する乙女みたい(笑)」と言われたのが忘れられません(笑/いつも気にかけてくださって有難う御座います)。
 さもありなん。
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