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 【STEX/都】「サクラサク」
2007年04月05日 (木) | 編集 |
第Xターンプライベートリアクション
No.πXX00103  担当:Sie

「サクラサク?」

―――――――――――――――
 ――心に、花を。
 思う人を。

「氷雨先輩、この日空いてません?」

 常葉都は、何時に無く真剣な声で尋ねた。
 氷雨ユキオは非常に真面目な人間だ。都の、半分以上冗談みたいな会話にも、本当以上に真剣に答える彼は、だから、その声にも、真摯に耳を傾けた。

「――連休は大丈夫なんです。けど、この、一週間前の日。夜勤には男性社員が居た方が良いでしょ。混雑するシーズンだから、なるべく抜けたくないんですけど……先輩と交代なら、休めるかなぁって……」

 男性社員は、元々少ない。だからその日、更衣室にユキオと都だけだったのは、特に珍しくもなんともない現象だったのだけれど。ユキオは、ひとつの違和感に気づく。どことなしに言い難そうな、都の口調。
 それは、春の気配のせいだったのか。
 それとも、もっと別の要因だったのか。
 ぐるりと考えを巡らせて――ふと、ユキオは、彼らしくない思い付きに手を伸ばした。それはつまり。ひょっとして。

「……デート……?」

 思い付きを口にして、そのままユキオは小首を傾げる。
 おかしい。何がおかしいといって、都にそのような色恋沙汰が巡ってきても、なんら不思議ではない――常葉都が、当たりかまわず手当たり次第、女性と見れば挨拶代わりにくどき文句を口に出来るような人物であったにも関わらず。
 シフト表を片手に、固まったことが、おかしい。

「え、まさか、正解?」

 ぶぶぶぶぶぶ、と、小さく挙手した右手を左右にふる仕草をする都が、常ではない。返答に詰まる都など初めて見た。ユキオは驚きを隠せない。

「え、いや、ええと、そんなんじゃないんですけど」

 そんな回答も初めて聞いた。これでは普段と、まるで立場が逆だ。
 ――つまり普段は、まるっきりユキオの方が後輩じみて、都が彼をからかう――実際何があってもなくても、何かを捏造されて慌てさせられるのはユキオのほうなのに。

「……。顔、赤い、よ」
「……」

 都の視線が泳ぐ。
 本当に、そんな都は始めてみた。先輩としては、この後輩の、年相応らしいうろたえを見て、微笑ましい気持ちにならないわけが無かった。
 春だろうか、なんて、ありきたりなことまで考えてしまう。

「いえ、その」
「平日だから、大丈夫だと思う。空けるよ。誕生日とか、記念日とか?」
「……有難う御座います」

 参ったなぁ、と、口の中で呟いて、都は立ち上がった。 
 新しいシフト表を、ロッカーに貼る。

「花を」
 ユキオを振り向かず、都はぽつりとこぼした。
「花を、貰ったんです。花の苗を」
 ユキオはそれを、静かに聞いている。
「それが、上手いこと育ってくれて、そろそろ咲きそうだから……咲いているうちに、見せたくて……。この日、その人も仕事の区切りがつきそうだって、そう、聞いたから、その……食事でもしようか、って、ええと、その。それだけなんです。……ごめんなさい」
「謝ることないよ」
 ――きっと、大切な相手なのだろう。そう思うと、自然と微笑がこぼれる。
 ロッカーの扉から、都が半分だけ顔を出す。
 ばつが悪そうに、照れくさそうに。
「……ナイショですよ?」
 言われて、ユキオは笑った。
「構わないよ」
「……笑わないで下さいよぅ。先輩のいじわるっ」
 口元を隠して言う都は、すっかりいつもの調子だったけれど。

 ――花、か。

 ユキオは思う。
「もうじき、桜が咲くかな」
「観に行ったら良いじゃないですか」
 扉からぴょっこり顔を出した都が、勘を取り戻した様子で口を出した。にっと笑って――
「お二人で」
 言い添えられたユキオは。

 ああ、やっぱり、彼は彼だと、思ったとか思ったとか。

 そんな、春の日。
―――――――――――――――

□PLより
 まあ、こんなことも、あってもいいかな? と。
 STEXは、今も何処かを元気に走ってくれていそうな、そんな気がしますね。

 海と空の交じり合う境界線を、遠く眺めるような、そんな気持ちです。

 運準のプラリアには、「~のように」というタイトルをつける、というマイルールを設定しているのですが、なんと言いますか、久しぶりにそれ以外のタイトル。
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