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個人的妄想倉庫×運命準備委員会
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 缶ビール
2007年05月12日 (土) | 編集 |
No.P×OXX55 担当:Sie
「愛に狂う、狂った愛」
(このプライベートリアクションは、以下の行動選択肢を選ばれた方の全てに送られています)
■プラリアを読む


――――――――
 愛していたんだ。

 瞼を閉じると思い出す顔がある。
 覚えていないのだ。だから、思い出す、というのは少しおかしい。おかしいが、確かにそうなのだ。

 学生寮の就寝は、穂積あまねには少し早い。

 まだ早いその時間に、あまねは窓辺に腰掛けて、アルコールのプルタブを開けていた。ぱこん、と、軽い音。炭酸はぷしゅっと弾けて踊る。
 帰りがけ、コンビニで買ったそれはまだぬるんではおらず、舌に苦かった。

 特設校――東京OZ学園に所属してから、帰る場所、が、出来たような気がしていた。
 所属しているのはほぼ全員年下だ。
 小さな、と言うには身体だけ大人である彼らが(それはあまねも大きく違いはしなかったのだけれど、成人のラインを超えているか/居ないか、は大きな違いだった)、おかえなさい、と、迎えてくれることは――とても大きい。

 おかえりなさい。

 笑顔を思い出して、少し笑う。

 おかしかった。

 目を閉じれば思い出す。悲しい思い出はあまねを強くしたけれど、同時に何処かへ突き落とした。這い上がれない。独りだけの、力では。
 おかしかった。

 缶入りのアルコール程度であまねは酔わない。
 体内に入ったそれは、僅かに体温を上げて下げて、それだけで終わる。それだけのものを、取り入れる。
 本当におかしくて、――おかしくて――涙が出た。

 何かが狂っている、という事だけは分かる。
 狂っているのだ。
 どこから狂い始めたのか、あまねには分からない。初めからだろうか。ウルリーカと呼ばれる魂が、人を愛すると決めたときから。
 繰り返す転生の中で。
 若しくは。
 穂積あまねと呼ばれたときから。

 おかしい、と、自覚することは、心底おかしかった。

 それほど多くの想い出を、あまねは持っているわけではない。ただ、少しだけ鮮明なものがある。
 少年を、愛した想い出だ。

 寄宿学校に所属していた前世、あまねは愛された。少なくとも、人目には晒せない愛され方をした。自分を誑かそうとした人間に出会ったこともあるし、だからこそ、相手を誑かす術を覚えた。
 それが、『おかしい』ことも、よく分かった。理解していた。神の教えてに背くことだと、感じる背徳が彼らの愛を甘くしていた。それは。たぶん。『おかしいこと』なのだ。

 久しぶりに少年を――少年の身体を愛した。

 久しぶりに抱いた身体は甘く、その男娼館で人気を博すだけのことはある、と、それだけを思った。
 始めて身体を重ねた後、別れ際にふと尋ねた。
 また、会える? と。
 運がよければ。と。答えられた回答を、あまねは舌の上で転がした。運がよければ。
(良ければ……?)
 あまねは自嘲した。
 本当におかしい。
 誰かのことを考え続けていることもおかしい。忘れられないこともおかしい。だが。忘れてしまったことも、おかしいのかも知れない、と、思う。

 ――会えば――

 溺れていくのではないだろうか。思ったときには遅いのが常だ。

 狂っていく。何かが狂っていく。
 糸が解きようが無いほど絡んでゆくように、何かが絡んでいく。本当は、何処にあるんだろう。

 瞼を閉じると思い出す顔がある。

 涙が、出た。
――――――――

■ダーク10title(下記サイトから借用)
 site name :: リライト
 master :: 甘利はるき様
 url :: http://lonelylion.nobody.jp/

□あまねは、意図して泣けないと思うのです。
 第3ターン、夢崎と初対面のあと、の話。
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